表彰名称 | 業務名等 | 発注者 |
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東北地方整備局 局長表彰 |
国道279号小赤川橋災害復旧橋梁外詳細設計業務 | 国土交通省 東北地方整備局青森河川国道事務所 |
東青地域県民局 地域整備部長表彰 |
国道280号橋梁補修(古川橋)調査・設計業務委託 | 青森県 東青地域県民局 地域整備部 |
中南地域県民局 地域整備部長表彰 |
岩崎⻄目屋弘前線道路災害防除測量・地質調査・設計業務委託 | 青森県 中南地域県⺠局 地域整備部 |
下北地域県民局 地域整備部長表彰 |
⻘森・むつ圏域(小松野川)砂防設備等緊急改築設計業務委託 | 青森県 下北地域県⺠局 地域整備部 |
西北地域県民局 みちのくインフラDX奨励賞 |
富萢薄市線橋梁補修(津軽⼤橋)設計業務委託 | 青森県 西北地域県⺠局 地域整備部 |
本業務は、令和3年8月の大雨により崩壊した国道279号「小赤川橋」の災害復旧業務(用地測量、用地調査、高密度表面波探査、道路詳細設計、橋梁詳細設計、仮設構造物設計)を取りまとめたものです。
被災した直後から現地入りし迅速な調査を実施しました(写真-1)。災害時の状況を時系列で整理し、検討委員会(写真-2)の助言も踏まえたうえで、被災に至るまでの原因を特定しています。
また、検討委員会や関係者(地元調整)の意向を速やかにに取入れ橋梁詳細設計や迂回路設計(図-1)に反映させました。例えば、災害時に発生した地盤のゆるみ範囲は、高密度表面探査を用いて範囲を特定したり、橋梁と護岸、吐口工、点検時の維持管理スペースなどの取り合いは、3D画像(図-2)を作成したりすることで判り易い資料としています。
写真-1 被災状況を踏まえた迅速な現地調査 |
写真-2 検討委員会 |
図-1 迂回路設計 |
図-2 3D画像による護床工パース |
本業務は、東青地域整備部管内において、国道280号と普通河川 古川川の交差部に架橋されている『古川橋』(写真-1)(単純プレテンI桁床版橋、橋長L=9.44m)の老朽化に伴う橋梁補修設計を実施したものです。
本橋は、津軽海峡沿岸に架橋され、飛来塩分の影響により著しい塩害を受けています。上部工は塩分濃度が高く、うきや錆汁、軸方向のひびわれが広範囲で確認されました(写真-2)。再劣化を確実に防ぐためには、電気防食工法が必要ですが、本橋のような小規模橋梁の場合、経済性に優れる架替えとなる事例が多くあります。しかし、新技術である『線状流電陽極方式』(図-1)による電気防食工法を採用することで、大幅な補修費の削減を実現しました。また、合理的な陽極材の配置を決定するため、実構造物で陽極材を仮設置し、通電試験を実施しました(写真-3)。
それにより、本橋に最も適した陽極材の配置を提案しています。さらに、陽極材は部分的な交換が可能であり、維持管理面においても工夫を行っています。
写真-1 古川橋全景 |
写真-2 上部工損傷状況 |
図-1 線状流電陽極概要図 |
写真-3 陽極材の仮設置 |
本業務は、主要地方道岩崎西目屋弘前線において、道路法面に巨石(写真-1及び写真-2)が散在しており、供用中の道路への落石対策を目的とした、落石防護柵詳細設計及びアンカー付き場所打ち法枠工詳細設計を実施したものです。
落石の対策工として、斜面下部での対策(擁壁等)を検討したが、路肩が狭く道路幅員が狭い中で、擁壁設置に伴う通行車両への圧迫感の増大、工事に伴う土工量の増加、さらに、巨石に対応した大規模な施設配置など、設計施工上の懸念事項が多い現場となりました。そこで、上部斜面と下部斜面の2つのエリアで区分して、上部斜面の機能と下部斜面の機能を分担させた工法の選定を行いました。
具体的には、上部斜面では落石を直接捕捉するエネルギー吸収型の落石防護柵を設置、下部斜面には風化防止も含めて、転石・玉石混じりの箇所に直接モルタル吹付工を施工して、下部斜面からの落石を防ぐ方法を採用しました。(図-2)
これにより、大規模な落石対策工を回避するとともに、経済的にも有利となり、当法面の落石対策工として、最適な工法を提案しました。
図-1 落石対策工平面図 |
写真-1 道路法面に散在する巨石 |
図-2 落石対策工断面図 |
写真-2 道路法面に散在する巨石 |
令和4年度 優良業務表彰に寄せて
国交省及び青森県から今年度も多くの表彰を受賞することができました。発注者のご指導に感謝するとともに、受賞者及び全社員の受賞に向けた努力と日頃からの業務に取り組む真摯な積み重ねの賜物と確信します。
表彰は外的動機付けにはなりますが、それを「目の上の人参」にしてはいけません。受賞出来たものも、出来なかったものもその結果だけに目を奪われては、私たちは仕事の本質を見失うことになります。
コンサルタントの本質は何か、表彰はそんな根源的な問いを私たちに投げかけ、もう一度振り返る良い機会なのかもしれません。
また、受賞業務を分析すると、発注者との良好なコミュニケーションと社内審査による品質向上が挙げられます。この強みを活かしながら、「取り組み姿勢」等の低評価点を改善していくことで新たな表彰に繋がるものと考えています。
中村 資紀